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親知らずの抜歯で起こるトラブルを免れる方法はありませんか?

親知らずの抜歯で起こるトラブルを免れる方法はありませんか?

(読者K.R.さんからの質問)


> はじめまして。読者のK.R.です。
> よろしければ、ご教示ください。
>
> 最近親知らずを抜きましたが、1週間も頬が腫れて
> 大変な目にあいました。
> ハイテクの時代と言われて久しいのに、親知らずを抜くのに、
> かなり前近代的な印象で、局部麻酔はするものの、歯茎を切開し、
> 周りからぐりぐり攻めて、一時間もかけて渾身の力で引っこ抜く
> というのはいかがなものでしょうか? 
>
> 麻酔はされていても音はするわけで、あごを強く押さえつけられ
> ながらの1時間は恐怖以外の何ものでもありませんでした。
> しかもみるみる頬が腫れて、妖怪みたいに!! 
>
> もっと別のスマートな方法で患者の負担が軽いやり方はないので
> しょうか? できれば抜かずに済む方法が。 
>
> 友人のドイツ人に聞いたら、言葉では Weisheitszahn と知ってい
> るけど、周りでは抜いた人を知らないって言ってましたが、世界の
> 治療法はどうなのでしょうか? 
>
> できればもう二度とこんな目にあいたくありません。
>
> K.R.


このたびの親知らずの抜歯でご苦労された件、
お察しいたします。

結論から言えば、親知らずを抜くかどうかはケースバイケースです。

ボク自身は、以前大学病院で上顎2本の親知らずを抜きました。
下の2本は、抜かずに経過観察しています。


抜かなくてもいいケースもあれば、
ご本人が気がつかないうちに、顎の骨の中で、
じわじわと炎症の巣が大きくなっているケースもあります。

通常、親知らずが問題となる場合は、20代半ばぐらいからです。

ちなみに親知らずとは、正中(歯ならびの真ん中)から数えて
8番目の歯です。上下左右で最大4本、存在する可能性があります。

もともと親知らずのない人もいます。
親知らずがあっても、スペースの関係でうまく生えないケースもあります。

歯科業界では親知らずは、『8番』と呼ばれます。

パノラマという種類のレントゲンを撮ると、
親知らずの位置関係や、
炎症の巣ができているかどうかが一目瞭然です。

一般的には、
上顎の親知らずよりも、
下顎の親知らずの抜歯の方がやっかいです。

それは歯の埋まっている骨の密度の差です。
下顎の方が骨の密度は高いです。


親知らずの抜歯をすべきかどうかの見きわめですが、

完全に親知らずが口の中に生えている場合は
あまり大きな問題になりません。


●中途半端に頭を出している場合、
●歯が横向きになっている場合、
●口の中からはその存在さえわからないのに、
レントゲンを撮ると炎症の巣がある場合、

これらは抜歯の対象の候補となるでしょう。

そして、
親知らず付近が何度か腫れる経験をへて
ご本人が決断して、

抜歯することが多いです。

これはどこの国に行っても同じじゃないでしょうか?


ただし、一般的には、親知らず付近の
炎症がひどくなって歯科に受診することが多いですから、
まずは炎症を鎮めることを最優先に治療が行われると思います。

炎症の最盛期で抜歯することは危険です。
なぜなら、とくに下顎の親知らずにいえることですが、

ノドや首の周りの筋肉や、肺、心臓へとつづく経路は
解剖学的にすき間だらけなんです。

このあたりを縦隔(じゅうかく)といいます。

親知らずの炎症がきついと
のどの痛みから始まって、
胸の方へ炎症が下りていく可能性があります。


炎症が、縦隔まで達すると
ちょっと大変なことになります。

現在は、日本人の栄養状態もいいし、有効な抗菌剤もあるので、
いまはほとんどそういう方はいませんが、
あまりにも我慢強い方は、親知らずから
死んでしまうこともあります。


原則として、炎症がしずまってから、
初めて抜歯という手順になります。

健康なときに抜く。コレが鉄則です。


中には、のど元過ぎれば何とやらで、
そのまま、めでたしめでたしとなり、
抜歯は見送りになることもありますが、

繰り返し同じような炎症が起きてくると
いずれ抜歯ということになります。


抜かないとどうなるか?

炎症の巣が次第に大きくなって、
親知らずによる炎症の起きる間隔が短くなってきます。


また炎症の巣が拡がることによって
親知らずの周りの骨が減ってきます。


では、ここからは抜歯の手技と抜歯後の経過について。


抜歯の技術は、古代エジプトの時代に確立しており、
歯を抜く器具等ほとんど変わっていません。

ロボットによる手術がまだ当たり前になっていないのと同じで
抜歯もロボットではできません。熟練を要します。

抜歯にかかる時間ですが、
1時間以内であれば、リーゾナブルです。

抜歯の48〜72時間後に腫れのピークを迎えます。

どうしても親知らずは奥の方をつつくので、
●唾を飲み込んだときのノドの痛み(下の親知らずの場合)
●腫れ
●口が開けにくい
●ずきずきした痛み
このような症状は多少なりとも出てきます。


ただ大きく腫れた場合は、あまり術後の痛みが出ない傾向が
あるのも事実です。

ボクが一番重視しているのは、
●唾を飲み込んだときのノドの痛みです。

コレがなければ、腫れていても、
時間が解決してくれる問題なので、安心してみていられます。

最後に、親知らずの抜歯を受ける場合のアドバイスです。


1.親知らずの抜歯は慣れた人にやってもらうのが一番。
口腔外科の先生が必須です。

2.大学病院等へ紹介されて、抜く場合は、
かかりつけ歯科医に必ず紹介状を書いてもらうこと。

3.炎症のない健康なときに抜く。

4.まずは、口腔外科の先生の説明(抜歯の方法、抜歯後に
起こりうるトラブルの可能性など)を十分聞いて、
納得してから抜歯すること

親知らずの抜歯は、患者さんもドクターも真剣勝負です。

実は、親知らずの抜歯をした夜は、
患者さんのことが気になって寝られない先生が多いんです。

無事に抜けてしまったわけですから、
恨みっこなしってことで、
ご自身の傷口ともども暖かく見守ってください。


大変、長くなってしまいました。

K.R.さんの
今後のお口の中の健康をお祈りします。


何かあれば、またご連絡ください。
では。

ドクターげんた

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